甘い誘惑

お茶とスイーツ、極上のペアリング。
お茶会の最大の愉しみは、お茶とスイーツの極上ペアリングにあります。
お菓子は、お茶の味をより美味しくするために欠かすことのできないもの。
まず甘いものを食べて口を甘くしておいてから、抹茶のような苦味の強いものを飲むとその味がグッと引き立つのです。なんという、甘い関係でしょうか。
さらに、茶菓子には、客人たちに「さりげなく四季のうつろいを感じさせる」という粋な役割があるのです。春はひなあられや桜餅、夏であればくずきりや水羊羹、秋ならおはぎに月見だんごに栗きんとん。
旬の食材で季節を伝える。いかにも日本人らしい美的感覚です。

和菓子ヒストリー。
しかし、いったいいつ頃からお茶にスイーツを合わすようになったのか?
安土桃山時代の、千利休の茶会の記録を見ると、『焼き栗』『栗の実』『せんべえ』『焼き昆布』などが書かれています。実は、利休さんの時代には、わたしたちが思い浮かべるような甘いお菓子はまだありませんでした。いまの和菓子に近いものが食べられるようになったのは江戸時代から。国内での砂糖の生産が増えたことで、一気に花が開いたようです。
この頃に作られた和菓子のカタログである『菓子絵図帳』には、『玉椿』『雲錦』『花の香り』など、風景や花を想起させる独創的な菓子の絵が並んでいます。

茶菓子から見えてくる「和の心」
今回の『茶会00』では、木曽の上松にある菓子所「和心」さんの『さざんか』と『栗ともち』をお出ししました。
お茶菓子の職人さんには、「季節のうつろいを先取り、お客さまに伝える」「お茶の味が引き立つようにする」「旬の食材のうまさが際立つように、シンプルに作る」などの独自の美学があるそうです。
お茶でお客さまを喜ばせるために、スイーツはでしゃばることなく、さりげなく彩りを添える。これこそが、日本人ならではの心遣い、“和の心”なのではないでしょうか?
「美の茶会」では、お茶の最高の“相棒”であるスイーツについても、毎回特集をしていきたいと思います。


